世界のオフィス事情

空き家が庭付きオフィスに変身、造園コンサルのオフィス「Growing green office」

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未来住まい方会議 by YADOKARI」より転載

ベトナムの北部にあるハノイは、南部にある都市ホーチミンに次ぐ、ベトナム第二の都市だ。政治・文化の中心地と呼ばれるハノイは常にどんよりと薄暗く、湿度が非常に高い。冬は北の大陸から流れ込む寒気と高い湿度のせいで、骨の髄から冷えるほどだ。少し憂鬱な気候が人々の心に影響するのか、芸術家が多いハノイ。そのために文化の中心地とも呼ばれているのかもしれない。

今回は、ハノイで造園や園芸専門のデザインコンサルティング会社OLAD Jscの傘下のブランドMein Gartenが新しく構えたショウルーム兼オフィスをご紹介する。

Mein Gartenのスタッフが求めたのは、クリエイティブな仕事柄、オフィスにいながらにして自然と触れ合い、そこから新しい発想を得ることができるような場所だった。

彼らが新しいオフィスの設計を依頼したのが、ハノイを拠点に活躍する建築事務所STUDIO102だった。

ハノイではここ数年、都市の目覚ましい発展と共に、都市はどんどん拡張し、同時に多くの住宅地が捨て去られている。これは資源やお金の無駄遣いのみならず、近隣の住民にとってセキュリティーや居住面において多くの問題を引き起こしている。

そんな中、Mein Gartenのスタッフが見つけたのが、「ヌアン・チン」ニュー・アーバン・パーク住宅地のトラング・ホアにある2軒連なった空き家だった。ここは、東南アジアで良くある住宅地だ。通り沿いに2階から3階建の家屋が立ち並び、家の前には駐車場や小さな庭が設けられ、外の通りの間には立派な門を構えている。日本の多くの家屋と比べてもかなり広い。

「この家を見たとき、この家の可能性を最大限に生かした、生活しながら働ける新しいスタイルの作業場を作ろうと思いました。」

建築途中の状態で打ち捨てられたこの家。すでにあったブロック塀の一部を取り外し、あえてセミ・オープンスペースにした。この建物の中のあちらこちらに植物が植えられ、中庭や、1階のセミ・オープンエリア、2階や3階の室内や屋根や壁面などあらゆるところで緑が青々と茂っている。各オフィススペースには大きな窓が取り付けられ、庭が見渡せるようになっている。

門をくぐると、飛び石の遊歩道となっており、1階にある店舗部分へとつながる。飛び石の間には池の水が張られており、時折吹く風に辺り一面に植えられた植物の揺れる音や水面に波面が広がっていくのが見える。まさに都会の中のオアシスのような空間だ。

2階と3階はオフィスエリアとなっている。この家のテーマカラーは植物の緑と塗装された白い壁だ。この雰囲気が働く人々をリラックスさせ、クリエイティブな発想をもたらす。作業場もデスクである必要はない。2階の中庭の池の隣のテラスや植物が生い茂ったベランダのベンチだっていいのだ。水場の近くでモノを考えると良いアイデアが浮かぶというから、最高な環境ではないだろうか。ここはオフィスでありながら、自然と共存できる。その結果、働く人々に自由な発想をもたらし、結果的に効率的な働き方ができるようになる。

デュラウッドで建屋を囲うことで、エネルギー消費を効率的に削減したスマートデザインを採用した。この建物は自然換気と自然光をなるべく使い、古材を活用することで、よりリノベーション費用を抑えることが可能になった。

造園や園芸の専門コンサルティング会社としてふさわしいオフィスではないだろうか。日々、季節ごとにここに植えられた植物はすくすくと育ち、オフィスの見た目も共に変貌していく。オフィスというよりもまるで生体のように。

文=石井敦子

Via:
archdaily.com
latte.la
skientruc102.com