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新しい働き方を提案する場 EDITORY神保町

EDITORY神保町

本の街、神田・神保町にて「ワーキングラウンジ エディトリー 神保町」を運営する株式会社安富。2階はイベントスペース、3階はシェアオフィス、4階にはコワーキングスペースおよび会議室があり、年間利用の会員のみならず、誰もが気軽に利用できるよう、コワーキングスペースはドロップインにも対応している。

以前、YADOKARIもイベントスペースを利用させていただいたのだが、申し込みから当日までの連絡がスムーズなだけでなく、当日のイベント進行中に発生したイレギュラーな事案にも柔軟に対応していただき、真摯でハートフルな運営サポートはビジネスと一括りにできないホスピタリティに溢れていた。

今回はそんなEDITORY神保町を運営する株式会社安富の代表取締役の安富太郎さんとディレクターの河原田保彦さん(以下敬称略)に、新しい働き方についてのご意見や、それを実践できる場所づくりなどについてお話を伺った。

EDITORYの2階で開催されたイベントの様子
EDITORYの2階で開催されたイベントの様子

アイデンティティやスタイルが必要な時代

YADOKARI:安富さんは「未来の働き方」というキーワードから何を連想されますか?

安富太郎(以下、安富):未来の働き方を語る上で重要になるのは、もっとアイデンティティを前に出して、自分が掲げるモノにどれだけの人が共感できるかということだと思います。私は以前、音楽業界にいた関係で当時の仕事の関係の人と意見交換をするのですが、今はアーティストもレコード会社に所属しないで、インターネットを駆使して直接自分の曲を売る時代。そのアイデンティティに共感してもらえなければアーティストをやっている意味がない、くらいの感覚でみんな音楽に取り組んでいます。この業界の例えは極端かもしれませんが、これはつまり人としての在り方が何よりも重要で、そのスタイルの周りに仕事が付いてきて、スタイルを追求した先に仕事があるという時代に差し掛かっていることの現れなんじゃないかですかね。また例えばSONYやAPPLEを比較しても同じようなことが言えるんだと思います。

YADOKARI:強烈なアイデンティティが必要ということですか?

安富:そうですね。強烈なアイデンティティがあれば周りに人が集まってくると思うので、仕事に限らず、自分の内なるものをより高めて行くことはいずれにしても必要ですよね。EDITORYはそこに重点を置いて仕事をして行きたいと思う人が集まる場を目指していますし、集まった人たちが求めるソフトを提供して行くことが私たちの使命だと思ってます。
もちろん労働の部分も切り捨てて考えることはできないので、ある程度の割り切りも必要ですよね。お金のためにやらなくちゃいけないことも当然あるとは思います。なので、金銭的な意味だけではなく「豊かさ」を仕事とどうリンクさせられるかということを考えていくことも、未来の働き方を考える上で忘れてはいけないポイントです。スタイルと仕事の両立、覚悟の部分も含めて。

YADOKARI:たくさんの志のある人が集まれば、相乗効果で新しいビジネスが生まれるかもしれないですし、大きな可能性を秘めた場所になりそうですね。

中央が代表取締役の安富さん、右がディレクターの河原田さん
中央が代表取締役の安富さん、右がディレクターの河原田さん

地の利を生かし、活気溢れる場所づくり

YADOKARI:この地にシェア物件を作ろうと思われた経緯を教えてください。

安富:「ワーキングラウンジ エディトリー 神保町」を始めたキッカケは、この物件をどうするかというところからのスタートでした。それまではシェアオフィスやコワーキングについては全く考えていなかったのですが、周辺に大学が多い地の利を考えて、若い人が集って何か新しいことを始められる環境を作ったらどうだろう?と考えました。場所が神保町なので、カルチャー寄りの方々が集まり、新しいモノを世の中に打ち出したり、人脈作りができることが私たちの強みじゃないかなと思っています。

YADOKARI:地域との繋がりも重視されているようですね?

安富:はい。神田エリアの地域の活動はすでにやっていますが、もう少しこの街から発信していくビジネスを考えて行きたいと思っています。それが会員さんの仕事や人脈作りにもプラスになるし、結局のところ、EDITORYのブランディングにも繋がりますよね。「会員になってもらった、はい、ありがとう」という単なる場所貸しで終わらず、新しい働き方を実践できるような仕掛けを作ることが、私たちの役目です。かと言って仕掛けなら何でも良いというのではなく、会員さんも私たちも共感できるものでなければいけません。だから会員さんに負けないくらいのアイデンティティや自分のスタイルをしっかり持って、仕掛けを提案をして行かなければならないと思っています。

YADOKARI:「EDITORY発」の仕掛けで神田エリアがもっと賑わっていくといいですよね。学生も多く、それだけのポテンシャルのある場所ですし。

イベントでの進行管理も重要な仕事
イベントでの進行管理も重要な仕事

実際の運用まで面倒をみるディレクター

YADOKARI:EDITORYさんのディレクターとして、実際に求められる能力やスキルはありますか?

安富:どの事業でも当たり前のことですが、収支がキチンと見え、かつ、世の中のニーズを的確にキャッチすることができる人がディレクターには相応しいですね。お金の面と「こういうものが必要じゃないか」とか「こういうものがあれば魅力じゃないか」というソフトの面を同時に考えられる人じゃないと、ディレクターとして場を盛り上げることができる人とは言えないと思っています。何か新しい企画を打ち出すには、冒頭でもお話ししましたが、アイデンティティがないとダメなんです。でもアイデンティティだけでもダメで、こういうものを提唱したらどうやって収益が出せるかということも考えて行かなくてはいけないんです。

YADOKARI:もう少し具体的に教えていただけますか?

安富:企画というと華やかなイメージがありますが、泥臭い作業が当然伴います。事務処理はモチロンですが、クライアントさんと上手くやり取りしながらいい条件を引き出したり、接待なんかもあります。ですから、企画を実現するための営業のような仕事も絡んできます。EDITORYでのディレクターとはそういうポジションなので、「企画しかやりたくない」と思う人には不向きかもしれません。企画を出したらそれで終わりではなく、実現させるための泥臭い仕事も楽しみながら形にして、しっかり始動するまでやり遂げよう、という心意気は必要です。そういう意味では、「将来独立したい!」くらいに考えている人と仕事をしたいと思いますね、「ノウハウ盗んで築き上げた人脈使って独立してやろう!」みたいな。

YADOKARI:お話を伺うと求められている人物像のハードルが高い気もしますが、逆に、EDITORYさんでディレクターのお仕事ができれば、今後どの道でも活かせる総合力を養うことができそうですね。

窓辺には観葉植物があり、長椅子に座って神保町の街並みが望める
窓辺には観葉植物があり、長椅子に座って神保町の街並みが望める

スナックのママのようなコミュニティマネージャー

YADOKARI:コミュニティマネージャーという仕事がこれからはとても重要とお聞きしましたが、どのような理由からでしょうか?

安富:事業にはフェーズがあり、2016年はEDITORYが東京の各地に拡散していく時期にあります。東京エリアにそれぞれのコンセプトを掲げたEDITORYを計画中ですので、場を管理・運営する人が必要になってきます。EDITORYは多くの人が共有するスペースを提供しているので、会員さん同士のイザコザがあれば両者を上手くなだめて円満に解決して行く相談役のような人のポジションがとても大事だと思っています。言い方は雑ですけど、スナックのママみたいなイメージです(笑)

YADOKARI:会員さん同士でのトラブルもよくあるのですか?

安富:会員のみなさんはEDITORYの方向性をよく分かってご利用いただいているので、ほとんど揉め事は起きてはいないんですが、でも何かあったときにお客さんを上手くコントロールできるというのも一種のブランドですよね。神保町のEDITORYも2016年で3年目に入り、それなりにノウハウも掴めてきたので、それを応用して新しい物件にも活かして行こうと思っています。

3階のシェアオフィスは小屋になっている
3階のシェアオフィスは小屋になっている

河原田保彦(以下、河原田):ディレクターであれコミュニティマネージャーであれ、サービスを提供しているので、会員さんが喜んでくれて初めて仕事といえると思っています。人間って誰でも自分が主役になりたいと思うんですが、あくまでもここでの仕事はお客さんである会員さんが主役。自分が喜ぶのではなく、お客さんを喜ばすという命題をしっかり理解できていることがとても重要だと思います。

YADOKARI:確かに、自分の仕事に「酔う」ってこともあるかもしれませんが、あくまでもその仕事の目的というか主役を忘れてはいけませんよね。誰を喜ばせることがミッションか? これはEDITORYさんに限らず、どんな仕事でも常に考えていなければならない命題ですよね。

人を巻き込んで行くチカラ

YADOKARI:これからも企業として生き残るためには何が必要だとお考えですか?

安富:面白いと思ったことは実行していくことが大切。それが価値になると考えておりますので、今後のビジネスの方向性もEDITORYから派生して様々な可能性があると思っています。5年後の世の中でさえ予見することが難しい時代なので、その時点その時点で方向性を選択して行くこともあり得るでしょう。10年先のビジョンを見据えた事業計画を持っていることも重要だとは思うんですが、世の中の動きをキャッチして臨機応変に対応していくチカラというのが必要になりますよね。そうやって新しいものを提案できる企業であり続けることが、未来でも選ばれ続け、残り続ける秘訣だと思います。つまり、局面局面で変えて行ける会社じゃないと長くは続かないし、トライは絶対に必要ですよね、会社って常にチャレンジしないといけないものだし。だから、生き残るためには時代時代でジャッジするチカラは必要かなと思います。あとは冒頭でお話ししましたが、アイデンティティに共感してもらい、人を巻き込むチカラですかね。

YADOKARI:最近は企業が臆病になっている風潮がありますよね、特に大手が。安富さんが仰るとおり、トライすることは企業としての未来を考えるときに本当に必要なことだと思います。

河原田:多少強引ですが、安富ほど人を巻き込むパワーがある人は見たことがないですね。例えば人員がいなくてイベントを運営できないというときに、会員さんを巻き込んで役割分担をして場を運営することとか。これからの世の中をタフに生きて行くためには、安富のように他者を巻き込むチカラというのはとても大切だと思っています。ネットワークがなくても、どこからか適材を引っ張って来れることこそが、今、色んな事業ができている理由です。インターネットも大事なのですが、リアルにどれだけ動くかも大事なんだということを学ばせてもらっています。

YADOKARI:スタッフとしてEDITORYさんで働くことも魅力的なんですけど、会員として利用させてもらったら、面白い「何か」に巻き込んでもらえそうな気がしちゃいますね(笑)。もちろん、巻き込んでもらうためには強力なアイデンティティを持つことなど、自分も必死に努力して自己を磨いていかないといけませんが。

4階の会員スペースと2階イベントスペースにはキッチンが併設
4階の会員スペースと2階イベントスペースにはキッチンが併設